EXP / 牧野貴

Introduction

牧野貴、日本にとどまらず世界がこれほどまでに次作を渇望する映像作家がいただろうか。
ロッテルダム国際映画祭や米アナーバー映画祭など国際映画祭において最高賞を受賞。
映画や実験映像という小さなジャンルの枠組みを超えて、近年もっとも自由で刺激的な作品を活発に生み出しているのだ。
音楽家・ジム・オルークや現代美術家・石田尚志とのコラボレーション、自身による即興演奏で音付けするライヴ上映、プルフリッヒ3D方式を採用した新作などフィルムとデジタル技術のポテンシャルをフルに活用し、次代における映像の可能性を探求するチャレンジングな姿勢はとどまることを知らない。

今回、複数の会場で4日間にわたり "EXP/牧野貴"と題し、西日本ツアーを決行。
岡山、大阪会場では彼の近作から初期作までをたどり、京都のJAPONICAではカフェの空間を映像で包むライヴ上映を行う。
また同じく京都の同志社大学寒梅館では、話題の新作『2012』と牧野みずから精力的に主導する上映企画[+] (プラス)が海外で活躍する作家たちの作品を紹介し特集する。
このような各会場ごとの、さまざまな仕掛けとプログラムを楽しんでいただけるはずだ。
網羅的かつ多角的に体験できる、またとない機会といえるだろう。
上映される場所や空間が異なれば、作品もまた何度も姿かたちを変え、それに伴って現在の牧野作品の進化が見えてくる。
まずは体験してみてほしい。このスリリングでダイレクトなインスタレーションを。

体験、実験、拡張 …あらゆる"EXP"がこれまでのあなたの記憶を総動員し、視覚/音響体験を更新する!

牧野貴 MAKINO Takashi


1978年東京生まれ。日大芸術学部映画学科卒業後、単身ロンドンに渡り、ブラザーズ・クエイのアトリエで学ぶ。帰国後もフィルムによる映画制作や上映を続け、フィルムとビデオを最大限に活用し、鑑賞者の想像力を増幅させるような有機的な抽象映画を制作する。2009年、2011年に 25FPS国際実験映画祭グランプリ、日本人としては初となるロッテルダム国際映画祭短編部門最高賞など、数々の賞を受賞。国内外の映画祭の他、美術展の参加も多数。最新作『2012』がアナーバー映画祭にて最優秀外国映画賞を受賞したのも記憶に新しい。
http://makinotakashi.net